今日はスポーツの場面でよく言われる心技体について掘り下げてみたいと思います😀
スポーツ選手はどう考えているか?
メンタルトレーナーの第一人者に高妻容一さんという方がいらっしゃるのですが、その方の著書の中にこんな記事がありました。
オリンピック後に行った出場選手への調査で次の質問をしています。
「心・技・体において、オリンピックで大切な順番に番号をつけてください。」
ほとんどの選手は 1.「心」 2.「技」 3.「体」という結果だったといいます。
高妻容一 (2002), 今すぐ使えるメンタルトレーニング ベースボール・マガジン社出版
というわけで、普段我々が使う順番通りなんですね。
いかに心(メンタル)を重要視しているかがよくわかります。
では、昔からこの順番通りだったのでしょうか?
実際に調べてみると少し意外な答えが待っていました。
語源はどうだったか?
語源とされているのは、古木源之助著の「柔術独習書」です。
そこには、以下のように記されています。
第一、身体の発育 第二、勝負術の鍛錬(即ち護身の用) 第三、精神の修養
古木源之助 (1911), 柔術独習書 制剛堂出版
つまり、体→技→心ということで、現在の語順とは逆になっているんですよね。
これは体がしっかり作られているなら、技術を習得することができる。
そして技術がしっかり習得できているなら、精神を鍛えることができるということですよね。
なるほど、実に理に適っているなと思いました。
しかし、重要なのはその後の説明文です。
以上三項の修行法は相互関連して居れるを以て単に一つの方のみを研究すべきものにあらず
引用元は上に同じ
この相互関連という部分ですよね。
つまり、基本は体→技→心であっても、実際にはそれぞれが影響しあっているので、以下のようなイメージではないかと思います。
では、なぜいつから心→技→体という順番になったのでしょうか?
一説によると、1953年に柔道家の道長伯氏が柔道には強靭な精神力が必要という説明をして、それが広まって“心”がトップになったと言われています。
つまり、今で言う”インフルエンサー”ということでしょうね。
こういった方たちは、いつの時代にも居てやはり周囲に大きな影響を与えるのでしょう。
しかし僕は、「これ以外にも理由があるのでは?」と思っています。
日本文化も影響している?
僕自身、高校時代は弓道部に所属していました。
弓道だけでなく、柔道や剣道といった武道全般に言えることですが、礼に始まり礼に終わるという”心”や”精神”をとても重要視しています。
これは相手を讃え、尊敬するといった他のスポーツにはあまりない素晴らしい部分だと思います。
柔道をはじめ、武道が世界に広がり受け入れられたのも、そういう理由があるからではないでしょうか?
その一方で、こういった部分は”神前礼拝”といった日本独自の文化・精神も相まって、いつの間にか”心”がどんなものよりも一番大事だという風に独り歩きしてしまったようにも見えます。
そんな絶大なパワーが体技心の順番をも変えてしまったのではないかと思ったのです。
まとめ
我々がスポーツなどで使う”心技体”は、元々、体→技→心という順番で使われていました。
しかし、それぞれが相互に関連し合っているので、三位一体で鍛えることが非常に重要であり、個々に鍛えるのはほとんど意味がないということです。
つまり、どれも大事なことには違いないんですね!
もう100年以上も続く言葉を、真意とともにスポーツの場面に落とし込んでみると、より効果が上がるのではないでしょうか?
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