今日のテーマはマッチョ(=たくさん鍛えている人)は風邪を引きやすいのか否かです。
人よりもたくさん鍛えているので、いかにも丈夫そうに見えますが、意外にも一般の人より風邪を引きやすいと言われています!
今日は生理学的視点からその理由を見ていきたいと思います😀
☑️ 本記事の信頼性
免疫の落ちる原因は”過度の負荷”
普段、我々の体は神経・内分泌(ホルモン)・免疫が協力しあって健康を保っています。
また、運動やトレーニングは免疫機能などを高め、より健康になれるということも周知の事実です。
しかしこれはあくまでも適度な運動やトレーニングをした時の話です。
この時、体の中では以下のような状態になります。
適度な負荷であっても多少ストレスは発生しますが、これはそこまで影響を与えるものではありません。むしろ、免疫などを良い具合に刺激してパワーアップさせてくれます。
特にストレス状態が解除されると、元に戻るだけでなく、暫く機能の高い状態が続くんです💡
そのため適度な運動やトレーニングというのは健康に役立つのですね😀
一方マッチョの人の場合、どうしても筋肉の維持や増進のため、非常に高い負荷をかけて筋トレをします。
すると今度は以下のような状態になります。
こういう時、体の中ではそれを和らげようとコルチゾールというホルモンが分泌されます。
俗にストレスホルモンと呼ばれますが、これが分泌されると免疫は大きく下がるのです。
また、適度なトレーニングの時と違い、トレーニングを終えた後でも暫く免疫などの機能は元に戻りません。
あるデータによれば、高負荷のトレーニングによって低下した免疫機能は、トレーニング後、約2時間で最低値まで低下し、約24時間後にようやく元のレベルに戻るということです。
よって非常に高い負荷で筋トレをすると風邪を引きやすくなるのです😵
テストステロンは直接悪い影響を与えない
筋トレをすると筋肉を増やすのに欠かせないホルモン、テストステロンが体内で増加します。
人によっては「これも免疫力を下げる」と指摘しているのですが、実際には少し話が飛躍しています。
この話の元となっているのは2014年にスタンフォード大学で行われた実験、「テストステロンによる免疫抑制効果とインフルエンザワクチン予防接種の性差を分析」というものです。
この実験では、ある男女数十人にワクチンを打った際、一部の男性で免疫がなかなか付かなかったそうです。調べてみると、その人たちはテストステロンの値が高かったということです。
確かにこれだけ見れば、テストステロンが影響を与えているように見えます。
しかし、実際にはテストステロンが直接影響を与えているのではなく、テストステロンを高める遺伝子がいくつかあり、それが直接免疫に悪影響を与えるということでした。
ちょっとややこしいですけどね(笑)
したがって、免疫には関わっているのですが、直接悪さをしているわけではないんですね。
やはりホルモンで言えば最も影響があるのはコルチゾールと言えるでしょう。
体温が免疫に及ぼす影響
体温と免疫というのは非常に深い関わりがあります。
体温が1度下がると、免疫を司る白血球の働きが30%以上もダウン。
体温を1度上げると、免疫力は一時的に5~6倍アップ
出典:太陽笑顔 fufufu
図からも分かる通り、免疫力が最も高くなるのは36.5〜37.0度です。
また、体温が1度変わるだけでも免疫機能が大きく変わるので、とても大事なことがわかります。
この体温を高める要素として筋肉も関係しています。
筋肉が増えると代謝が上がり、それに伴って体温も上がるからです。
したがってマッチョの人の場合、この点に関しては免疫を高める要素となるでしょう。
体脂肪が低いと体温は落ちやすい
もう1つ体温と関係があるのは体脂肪です。
脂肪自体は、内臓を守ったり、エネルギー源になったり、ホルモンの一部を作ったり(ちなみにコルチゾール、テストステロンも脂肪から作られます)、いろんな役割を果たしますが、そのうちの1つに保温効果があります。
しかし、どうしてもマッチョの人の場合、体脂肪が少ないので、保温効果も落ちてしまうんです。
そうなると体温も下がりやすいので、この点に関してはマイナスの要素ですね。
ただし、下がりやすいということであって、下がるとは決まっていません。
つまり、普段から体を冷やさない工夫をすれば元々体温は高いはずですから、免疫も高く保てるはずです😌
まとめ
<免疫を上げる要素> ・筋肉が多いので体温が高い傾向にある <免疫を下げる要素> ・体脂肪が少ないため体温が下がりやすい ・過度なトレーニングをすることで、コルチゾールが分泌される |
トータルで考えた時、マッチョの人は風邪を引きやすいと言えます。
特にトレーニング後、約2時間は免疫が低くなりますから注意が必要です。
しかし、筋肉が多く体温が高いという有利な部分もあります。
また、普段から体温を下げない工夫をすれば、体脂肪が少ないことで起こるデメリットもカバーできます。
今回の記事が少しでも、日々のトレーニングや健康に繋がるようであれば幸いです。
ご参考まで😀
横から失礼とは思いますが、良い内容をありがとうございます。ただ、伝えるに当たって日本語はかなり重要です。
初段のほうに、『風邪を引きづらい』と項目見出しがありますが、〜づらいは、その行為にあたっての苦しさを主観的に、
表現したいとき、使われます。〜にくいは、客観的な事柄が言えます。
本内容の場合は、風邪を引きにくいとするほうが、ふさわしいと思いますが・・・如何でしょう。
なるほど、貴重なご指摘ありがとうございます!
勉強になりました