マラソンのベストシーズンは冬
2019年10月、東京オリンピックの競歩、マラソンの会場が東京から札幌へと電撃変更されました。これはまだみなさんの記憶に新しいところかと思います。
変更の理由はご存知の通り、暑さの問題です。
そもそもマラソンシーズンは冬の寒い時期であり、夏季オリンピックの競技として開催することも少し不思議な気がします。いっそのこと冬季オリンピック競技というのは無理でしょうかね(笑)
では、なぜマラソンのベストシーズンは冬なのでしょうか?
その理由は体内の酸素結合度が関係しています。
体内で酸素と結びつき、それを運んでいるのは赤血球ですが、いくつかの影響を受けています。
代表的なものは以下の3つです。
① 血液の温度
② ph (水の酸性・アルカリ性を示す)
③ 2,3-DPG (糖を利用すると代謝産物として発生)
この関係性を図表にすると以下のようになります。
出典:みーは血液内科医 (みーの医学)
真ん中、縦軸のところで比較してみましょう。
ピンクの曲線から左方移動すると酸素飽和度が上昇するのがわかります。
一方、右方移動すると酸素飽和度は逆に下がってしまいます。
右方移動の要因は、図表にも記載してあるようにphが下がる(体が酸性に傾く)、血液の温度が上がる、2,3-DPGが増えることにあります。
わかりやすい状態は運動をしている時です。
誰しも動いている時は体が熱くなってきますよね?当然、血液の温度も上昇します。
また、体の中の二酸化炭素(CO2)の量も増えてきます。実はこれはphを下げる要因になります。
一方、我々のエネルギー源と言えば”糖”です。運動時には通常よりもたくさん使いますから、その代謝産物として2,3-DPGもどんどん増えていきます。
さらに長時間の運動(有酸素運動)になると、酸素を利用してエネルギーを作り出すので、ますます酸素の需要が高まります。
これらの問題を補うため、結果的に呼吸が亢進する(早くなる)というわけです。
しかし、季節的に冬であれば運動をしても体温や血液の温度は上がりづらくなります。
その分、酸素の供給は保たれやすく、息も上がりづらくなるのでマラソンなどの有酸素運動には有利となります。
逆に夏などの暑い時期に運動をすれば、血液の温度上昇は著しく、酸素結合度はあっという間に下がってしまいます。結果、すぐに息苦しさを覚え、パフォーマンスも下がってしまいます。
マラソンのベストシーズンが冬である理由はこういうことなのです💡
体の特性を知った上で、効率良く取り組みたいですね!
こんにちは、ヤスオです。
今日は東京オリンピック競技の1つ“マラソン”について掘り下げてみたいと思います💡